INCONTRO - 身体のことを考えながら生きていく〜鈴木ユキオが語る「舞踏」

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INCONTRO - 身体のことを考えながら生きていく〜鈴木ユキオが語る「舞踏」

――鈴木さんは振付もされていますが、ダンサーが振付するというのは難しくないですか? 自らのなかで、振付家とダンサーが舞台上に混在するというのはどういった感覚なんでしょうか? たとえばNoismの金森穣さんは、よそから振付家を呼ぶことも最近多くなってきましたよね。

 客観性という意味では、本当はいろんな振付家を呼びたいです。それについては、ずっと悩んでいますね。僕も一時期、自分が出ない作品に挑戦したこともありました。その際に「出ないって面白い」って思いましたね、正直言って。ダンサーを信頼していないと出来ないことだけれど、僕が舞台に出ないことで委ねられる。客観できるし、演出の面白さと大事さを痛感しました。だから、「もしかしたら、演出家としてやっていくのもいいのかな?」と思う時期もあって、いまでも少しあります……僕は演出が得意なほうなのかもしれないですね。人を見て、良いところを引き出すのが好きなんです。

 いま僕は35歳ですが、60歳の室伏さんだからこそわかることもあるじゃないですか。自分が現場だからわかること、というか。一方で、完全に振付・演出に回るからわかることもあるんでしょうけれど……自分の身体を探求する余地はまだあるかなあと。だから、まだ舞台に立つことを選びました。

 少人数の舞台で難しいのは、やっぱりバランスですね。僕が作って僕が出る、という強さを感じてしまう。だからあえて、完全に全員をフラットにするのは止めようと思いました。それまでは全員が同じパワーバランスで、と思いましたが、それだと面白くないというか……飽きられる。個人が目立つ作品というのは、失敗するときもあるけれど、また見に行こうって気持ちになるのは、人間性とかも含めての話なんだと思います。そういうことを考えるようになったのは……最近かな。だから、最近は自分が主要なポイントで踊るようになってきています。それが良いかどうかはわかりませんが。

――今後どういった方向に自分が行くのか、イメージはありますか?

 いつも悩んでいますね……「ダンスって何だろう?」とか。それを毎回課題としてトライしています。そのときはわかったような気持ちになるんですが、また問題点が出てきて。その繰り返し。それを追求していきたいです。振付というのは、自分を見つめるためにも良いんです。自分が思っていることを人にやってもらうというのはとても勉強になります。演出も、大事なことは自分に返ってくる。人にやってもらうと明確にわかる。そうすると、自分にフィードバックして次の作品に返す。

 グループ作品であっても、全部自分が踊ると思って創っています。その人だから出来ること、その身体で出来ること、を考えて作りますが、全部自分だと思ってやるんですよね。だから逆に、ソロをやるときよりも得るものは多い気がします。大変な作業ですが……映画が好きでこの世界に入ったから、「ちょっといい映画観ちゃったな」って気分になれる作品を創りたいです。デビット・リンチとかね。グロいんだけど、なんか観ちゃうような。意味がどうとかじゃなくて、すごくヒリヒリした瞬間を見れたら面白いですよね。

――最後に「なぜダンサーであり続けるのか」という部分を教えてください。

 たまに考えるんですよ、「何で踊っているのかな?」って。でも、みんな同じなんですよね。会社勤めの人も、仕事しながら「自分って何だろう?」と思っているんじゃないでしょうか。それって大差ないと思いますよ。ダンスだからって特別意識はしたくない。

 僕はたまたま、自分の身体に対する探求と生き方を考えて実践していきたいって思って、その入り口がダンスだった。いまもそれを続けていて、自分自身で実験していきながら、これからもおそらく身体のことを考えながら生きていくんだろうなと思います。だから、「一生踊っていきます!」なんてことは思っていないんですよ。わからない……たぶんやっていくと思うけれど、簡単に言えることじゃない。わからないですね(笑)。作品作りにしても、踊ることにしても、考えすぎちゃって。本当に真面目すぎて困っちゃうんです(笑)。

(end)

身体のことを考えながら生きていく〜鈴木ユキオが語る「舞踏」

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update : 2007.11.10
title : 舞踏家・鈴木ユキオ


text : VAGANCE
photo : shinji kubo
thanks : yukio suzuki

yukio suzuki

鈴木ユキオ

1997年、アスベスト館にて舞踏を始め、室伏鴻、SAL VANILLAなどの作品に参加。2000年より「金魚」として活動を開始。ダンサーの個性や身体を徹底的に追求し、存在させる演出方法が注目を集める。近年は、横浜トリエンナーレでのパフォーマンス、東京シティバレエ団への作品提供、「アジアダンス会議」参加など、振付家としての活動も幅広く展開。また、舞踏のメソッドを基礎にワークショップも実施。身体を丁寧に意識し、自分だけのダンスを作り出すプログラムを各地で開催している。

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