CONCETTO / 綱領

 “We owe something to EXTRAVAGANCE, for thrift and adventure seldom go hand in hand. (時に我々は浪費することで何かを得ることもある。なぜなら倹約と冒険が手を取り合うことはないからだ)”


ニューヨーク社交界の花形であったジェニー・ジェローム・チャーチル(1854〜1921)、すなわち故チャーチル英国首相の母親の言葉である。

「浪費(EXTRAVAGANCE)」という言葉を辞書で引くと、「金などをむだに使うこと」と書かれている。「むだ」という言葉は「しただけの効果や効用のないこと。役に立たないこと」だそうだ。どちらもネガティヴな意味を持つ言葉である。

「浪費」がなぜネガティヴなイメージを伴う言葉となってしまったのか。

それはおそらく、有限かつ貴重なカネやモノ、あるいは時間を、“自分のために”使っていない人間が多いからではないだろうか。それらを本当の意味で“自分のために”使ってきた歴史があったのならば、ひょっとすると「浪費」という言葉は現代の辞書において「金などを有意義に使うこと」といったポジティヴな意味で定義されていたかもしれない。

1876年、冒頭に挙げたジェニー・ジェローム・チャーチルは米大統領選において、当時ニューヨーク州知事であった民主党候補サミュエル・J・ティルデンを支援し、マンハッタンのクラブで盛大なパーティーを催した。彼女の後押しも及ばずティルデン氏は落選したが、このパーティーで彼女が提案したカクテルがのちに永遠のスタンダードとなるマンハッタンであり、そして当時2歳だった愛息は国民から敬愛される名首相となる。

ひとつのパーティーから歴史が作られることもある。

それを「浪費」と捉えるかは人それぞれだが、VAGANCEは自分自身が物差しとなり、自分のための「浪費(EXTRAVAGANCE)」を快く受け入れ、楽しみ、探求する人にとっての“extra”でありたい。

VAGANCE編集長 浜田寿人

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