LEGGO - 本から始まる、matt李明喜の空間デザイン

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【李明喜さんオススメ本】

丹治信春『クワイン―ホーリズムの哲学』(講談社)

 これは見つけるのにすごく苦労しました。この講談社の<現代思想の冒険者たち>シリーズには隠れた名著も多くて他の何冊かは持っているのですが、刊行時(1997年)にはクワインのことは知りませんでした。その後、分析哲学の本を読み始めてクワインを知ったのですが、その頃にはもうこの本は絶版で古本屋でも見つかりませんでした。ドゥルーズとかハーバーマスとかデリダみたいな人気者は、ソフトカバーの小さい版でシリーズを焼き直しているのですが、クワインみたいな日本でマイナーな人は入っていないんですね。でもあるときにぽっとアマゾン・マーケットプレイスで出たのを見つけて即購入しました。

 クワインはアメリカの哲学者で、“ホーリズム(全体論)”、“認識論の自然化”等斬新かつ魅惑的な概念を提唱しました。ですが、それらに近づくのは並大抵ではありません。クワイン自身の訳書も出ているんだけど、非常に難しいんですよ。難しいのですが、まるでハードで面白い科学書を読むかのようにワクワクするんです。その緻密な分析展開は最も自然科学的な哲学だと思いますよ。そんな時にこの丹治さんの本が最高の解説書だっていうのを聞いて、これは探さねばと思ったのがきっかけです。クワインの思想に至る流れとして、カルナップの「構文論」から始まって、思想の動きと生涯を絡めることで理解へのヒントを与えてくれます。でも、やっぱりきちんと理解するには論理学を学ばないとダメですね。


■『CUBE SOL LEWITT 1990』

 これは日本で買ったけど、たぶんもう買えないんじゃないでしょうか。これカッコイイですよね(床に置いた白い立方体に対して10定点のライトを設置し、光と立方体の影のバリエーションをスタディする写真集)。この数字はどのライトをつけたかっていうパターン。511通りあるってことです。これを……ずっと眺めています(笑)。めずらしく、じっくり眺めるヴィジュアル本です。すごくないですか? これを実際に全て撮って作るって。

 このソル・ルウィット(SOL LEWITT)というアーティストはミニマル・アートやコンセプチュアル・アートを代表するアーティストで、キューブやグリッド等の単純な幾何学を用いた作品をたくさん制作しています。で、これはこの人の作品のなかでも究極ですよね。面白い! (「李さんのBIT THINGSみたいですね」)そうですね、すごく影響受けていますよ。BIT THINGSは、“単純な形態から多様な現象を生み出し、それが豊かな体験を創出する”というのがテーマだったので。

(4/5)

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update : 2007.01.29
title : 空間デザイナー・李明喜


text : VAGANCE
photo : VAGANCE
thanks : myeong-hee lee
thanks : matt


myeong-hee lee

李明喜(myeong-hee lee)/空間デザイナー

「コミュニケーションの可能性─現実の拡張」としての空間デザインに取り組むデザインチーム“matt”代表。主な仕事は『JAM HOME MADE』(2000 千駄ヶ谷)、『GAS SHOP』(2002 中目黒)、『CAFE SIGN』(2002 外苑前)、『CAFE OFFICE』(2001 外苑前)、『BIT THINGS @ YCAM』(2003 山口)、『SUPERSTARS』(2002 代官山)、『mod com. @ akiba』等。

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