LEGGO - takram・田川欣哉〜必然だった“本箱システム”は人生の縮図

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LEGGO - takram・田川欣哉〜必然だった“本箱システム”は人生の縮図

田川:それは純粋に技術的な話も含んでいます。ハードウェアになると、可塑性を埋め込むことが難しいパーツもあるのでね……どうやって柔軟なプロトタイプを作れるか日々考えています。建築はスケールが大きいから、どれだけ可塑的にできるかは難しいところですよね……粘土で作っておきますか(笑)?

李:(笑)。建築は物理的なものだけで出来てはいないので、そういう意味では元々可塑性を持っているともいえます。いま興味があるのは、物理的な空間と物理的でない空間の関係性と無関係性についてです。たとえばある人がカフェで携帯電話をかけていると、その周りの人は違和感を覚えるじゃない? それって、ここにはいない人とのコミュニケーションによって生まれる、“不可視の空間”が物理的な空間に交わる形で立ち上がるからなんですよね。こういう場面は携帯電話に限らず、様々なコミュニケーションや行為の中で立ち上がり消えていきます。

田川:マンガ読んでニヤニヤしてる人とか(笑)。

李:そうそう。それを僕はネガティブには捉えていなくて、これも空間の現象として捉えたい。

田川:マンガを読んでいる最中は、その人の意識はその場から消えてしまいますよね。電車で本を読む日本人に「勤勉だ」と感心する外国人もいるけど、結局僕らは、電車の中の圧迫感に耐えかねて、本を読むということで他人との間に境界線を作り出しているんだと思う。だからたとえば、10メートル四方くらいの狭い空間に、パーソナルスペース化を促す本とか携帯を置いておいて、人を100人くらい入れて「これ建築です」とかね(笑)。

李:そういう観点からマンション等の住空間を創りたいんだよね。そこでは家族って枠組みも選択肢のひとつに過ぎない。で、それらは状況に応じて選択することができる。選ばないという選択肢も含めてね。

田川:パーソナルスペースをリアルに区切るときに、流れる風で区切るとかね。(笑)。

李:光とか音でも壁は出来ますしね。生態学的に壁が必要なこともあるけど、やっぱり制限される必然はないわけで。もういいかげんLDKとか間取りからの発想ではなくて、物理的空間とそこから生まれるコミュニケーションや行為によって立ち上がる、物理的ではない空間の関係性から考える……って、本の話ししてないね(笑)。無理やり繋げるけど(笑)、今後アーカイブのあり方をどうするかっていう話はより重要になってくると思う。捨て去って持ち運べるフォーマットっていうのは……かっこいいよね。

田川:工具もそうですよ。現場に持っていける工具袋を買って……それも箱と同じく限られた容量ですよね。工具も入れ替え制なんですよ(笑)。たとえばペンチだったら、いいペンチが出てくると昔のは捨てられてしまう、という熾烈な生存競争が工具袋のなかで起きている(笑)。

李:すごいね(笑)!

田川:残っているのは工具好きが見れば「う〜ん」て唸るようなものばかり(笑)。

李:それって、まるっきり進化淘汰の世界だよね。

田川:僕は積極的に生き残りのルールを入れているのかもしれない。色んなものに対して。よく、「モノを無駄にするのはけしからん」とか言われるけど、僕はモノを造る側として、「人に捨てられないモノを作らなくては」って思っています。だから捨ててもいいモノを持っていると、その感覚は磨かれない。どんどん捨ててますよ。自分の中に一定レベルを設定しています。

李:ドライバーひとつでもね、いっぱいあるもんね。

田川:そういう工具を作りたいんです。知る人ぞ知るカナヅチ、みたいな(笑)。「重心が最高!」とか、「僕はこれを作るまでに20本のカナヅチを捨ててきた」とかね(笑)。

李:やっぱり“本箱システム”は田川さんのモノ造りの基本なんだね。

(end)

takram・田川欣哉〜必然だった“本箱システム”は人生の縮図

ARCHIVE
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update : 2007.08.28
title : takram・田川欣哉


text : VAGANCE
photo : shinji kubo
thanks : myeong-hee lee
thanks : kinya tagawa
thanks : takram

kinya tagawa

タクラム(takram)

デザインエンジニアリングファーム。デザインとエンジニアリングの二つの視点を活かした多角的なアプローチを特徴とする新世代の製品開発会社。2006年、田川欣哉と畑中元秀によって設立。社名は日本語の「企む」から。

田川欣哉:99年東京大学卒業、01年英国RCA修士号取得、05年までLeading Edge Design所属。

畑中元秀:99年東京大学卒業、05年スタンフォード大学博士号取得。

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