POSSIEDO - 万年筆で、豊かな時間を過ごす〜書斎館“舞踏会PEN”

POSSIEDO / 万年筆で、豊かな時間を過ごす〜書斎館“舞踏会PEN”

POSSIEDO - 万年筆で、豊かな時間を過ごす〜書斎館“舞踏会PEN”

 2006年11月13日から24日までの平日、東京丸の内にて「朝EXPO in Marunouchi」という少々風変わりなエキスポが開催された。朝エキスポと名がつくだけあり、スタートは毎日朝の7時から。“いつもよりちょっと早起きしたら、新しい何かに出会えるかも!?”というキャッチフレーズをかかげ、トークライブやワークショップを行う。このエキスポの概要を聞いた当初、7時に丸の内ではさすがに集客が見込めないだろうと心配していたが、フタを開けてみるとこれが大盛況とのこと。日々時間に追われるように生活している人たちが、早起きしてでも普段とは違った時間を過ごしたいと考えている……そういった人たちが集まる場所ではどんなストーリーが展開されているのだろうか。

 「万年筆はインクを入れるのも面倒だし、インクが乾くのを待つのもイラつくくらい、みなさんお忙しいと思います。でも、そういうことを“我慢する”と言ったら変ですが、そうした“モノが与えてくれる時間”を楽しむことで、忙しい日々を顧みる時間を持ってくれる人が増えてほしい、というのが書斎館を作ろうと思ったきっかけです」

 この日のトークライブに登場したのは、青山の一等地にある万年筆専門のペン・ブティック「書斎館」オーナーの赤堀正俊さんだ。バリバリのビジネスマンだった赤堀さんは、ふとしたことをきっかけに突如その立場を放棄した。「ライフスタイルを変えようと思って、携帯電話にも出ず、メールの返事もしなかった。そうしたら、1年経つと携帯電話は鳴らなくなり、2年経つとメールが1本も入らなくなりました。いまは会社からたまに1、2本、電話がかかってくるだけですね。携帯が鳴っても出ないし。連絡したいときは自分から電話します」。

 書斎館をオープンした当時、周囲からは「1年くらいで潰れるよ」と言われていたという。「取引先は賭けていたそうですよ。最短3ヶ月、長くても半年って(笑)。99%の人間がダメだと思っていたみたいです。何人かには諭されましたね。万年筆自体の需要がどん底でしたし、景気も悪いですから。それなのに青山の一等地にかっこつけて店を出してどうするんだ、と言われました。でも、オープン当時からたくさんのお客さんに来ていただいて、予想外でした」。その予想外がふくらみ、羽田空港にも出店することに。

 「僕の仕事そのものが、元々空港でお世話になっていたというのが大きな理由ですね。第2ターミナルに出店して、来年の3月には第1ターミナルに店を出す予定です」

 前回ご紹介したブレスレットのペンは、数年前にイギリスへ行った際に骨董品屋で見つけたものだそうだ。「最初は金額を教えてもらうどころか、触らせてももらえなかった。でも何日も店に通って、ようやく口説き落としました。日本に帰ってきてこれを復刻しようと思ったんですが、技術が足りない。職人さんがいないんですよ。意外にも作りが結構難しいんです。時計屋さんとか宝石屋さんとか職人の業界を回りましたが、1年くらい断られ続けました。それでも最終的に3、4人の職人さんが手伝ってくれることになり、何とか作る体制を整えました。それでも1日に1個しか作れなかったんですよ。単純計算で1000個作るのに3年ですね」。独特な時間の流れがここにも現れている。

 ひとりでも多くの人に万年筆を使ってもらいたい、使うことでのんびりした時間を感じてもらいたい、という気持ちから、赤堀さんはハートライン・プロジェクトを立ち上げ、ペン・アワードを開催している。

 「“どうしたら万年筆が日本中に広まるだろうか”という気持ちから始めました。いろんなメーカーさんに協力いただいています。うちで買ってくれなくても、使ってくれればいいよ、くらいの気持ちですね。万年筆ベスト・コーディネイト賞というんですが、万年筆の似合う、もしくは万年筆を持っていてカッコイイと思う各界の著名人を選んで表彰するというものです。今年はリリー・フランキーさんと劇団ひとりさん、太田光さん、小池百合子首相補佐官、滝川クリステルさんの5名です。一般応募もしていて、今年も1万人近い応募をいただいたんです。来年もやりますので、もしご興味ありましたら是非参加してください」

 日常から少し飛び出した時間を過ごすために、万年筆を手にするのもいいかもしれない。

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万年筆で、豊かな時間を過ごす〜書斎館“舞踏会PEN”

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update : 2007.01.16
title : 書斎館“舞踏会PEN”


text : VAGANCE
photo : shinji kubo
thanks : masatoshi akahori
thanks : shosaikan
thanks : hidekazu ishihara

masatoshi akahori

赤堀正俊/書斎館オーナー

羽田、成田、関西空港内で筆記具を中心とする文房具を取扱う会社を経営する。2001年南青山、2004年羽田空港ターミナル2に万年筆専門店ペンブティック「書斎館」をオープン。“懐かしい時の空間”をコンセプトに、ショップ経営のみならず、書籍の発行、講演など、その活動は多岐にわたる。

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