


いつだったか、どこだったかは忘れてしまったが、「一緒に遊びに行った男のポケットに何が入っていたらグッとくるか?」という話をしたことがあった。そのとき「トランプ」と答えた女性がいた。
「トランプのコミュニケーションツールって現代だからこそ必要な気がするんです。ある意味サッカーボールに近い感覚ですよね。だったら軽い悪戯気分を伴いながら、胸に入れて出掛けたくなるトランプを創りたくなったんです」
常田亮吾は1年かけて『SUPER BLACK TRUMP CARDS』を創り上げた。特に家具のデザイン、ディレクションが際立つ空間プロデュースで知られる常田だが、彼のような存在は日本ではなかなかいない。空間を設計・プロデュースする場合、海外では設計からインテリアデザインまでのすべてを建築家が行うのが通例であるが、日本では建築家が器を設計した後、中身についてはインテリアコーディネーターが担当することが多い。
「そのインテリアコーディネーターも、家具の中に入れるお皿や壁にかけるアートなどには関わらない方が多い。お客様の好みで、ということなのでしょうが、僕にはお客様に丸投げのように思えてしまったんです。そこで僕は、いまの事務所を立ち上げたときにそういった部分も含めて提案したいなあと思ったんです」
常田の事務所「STRATCAST(ストラトキャスト)」は、ルイ・ヴィトンのアイテムアレンジメントのような仕事も手掛けるが、THE HOTEL JYUBANのようにインテリアアイテムの制作段階から携わることもある。
「世の中にあるものだけでは完成した空間は求められないことがあるんです。コンセプトに沿って創り上げていった場合、何が足りないのかを明確にして、足りない部分の家具などを制作していくんです」
さて、彼のバックボーンがわかったところでトランプに話を戻そう。常田は最初、鉄素材でトランプを創ろうと思ったそうだ。トランプには古代エジプト起源説、インド起源説、中国起源説がある。なかでも中国説が有力で、12世紀以前の中国に「葉子」というトランプの一種があり、それが十字軍やサラセン人などの手によって欧州に伝わり発展していったと言われている。
「何かを創りたいと思った時に、そのモノについて調べていくのは面白い作業ですよね。たとえば、トランプって昔は税金がかかっていたってご存知ですか?」![]()

update : 2007.07.27
title : 漆黒のトランプカード
text : hidekazu ishihara
photo : shinji kubo
thanks : ryogo tsuneda
thanks : STRATCAST
STRATCAST
空間やプロダクトデザイン&プロデュースを通じて、人の人生をカスタマイズするチーム。最近はスタイリストとコラボレーションしてアパレルも展開。
www.stratcast.jp
www.verope.jp
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