


郵便を意味する「postal」と「会社(company)」の頭文字。それら2つの言葉を組み合わせた造語がPOSTALCO(ポスタルコ)だ。
ブルックリン生まれのPOSTALCOは“紙を運ぶ”ためのプロダクトを制作している。たとえばエンベロープ(書類入れ)や名刺入れ、ブックカバーなど。それらはさまざまなセレクトショップで見ることができるが、直営店は京橋の古いビルでひっそりと営まれている。
内部は2面採光のため、意外なほど明るい。手作りの商品棚とヴィンテージといえそうな事務用什器が並び、オリジナル商品は鉱物のオブジェやポストカード、美しいドイツ製のハサミなど世界中から集められた小物とともに並べられている。ゆっくりと時間をかけて店内を一巡してから、A4がすっぽりと入るサイズのエンベロープを手にとってみた。圧縮コットンとレザーを組み合わせたシンプルなデザインはいかにも丈夫そうで、貫禄すら感じさせる。留め具はいまどき珍しいハトメだ。ぐるぐると紐を解いて開封する手間は、かえって新鮮で心地よい。
「N.Y.在住中、いつも書類をたくさん持ち歩いていた私のために、夫のマイクが作ってくれたエンベロープがPOSTALCO誕生のきっかけだったんです」

POSTALCOの作り手のひとり、友理・エーブルソンさんはそういって自らが使用しているエンベロープを見せてくれた。広めのマチが備わっていて、収納力はじゅうぶんである。それに口が大きく開くように縫製されているので、中に入れた書類の出し入れもスムーズだ。なにより使い込まれたことによって表れた味わい深さは魅力的である。「こういった実用品にも、長く使って風合いを育てる楽しみがあればいいと思うのです」と友理さんは続ける。何の変哲もないコピー紙であっても、そこから取り出されると柔らかな空気をまとっているように見えるから不思議だ。
「私たちは紙によるコミュニケーションを大切にしたいと思っているのです。手紙や葉書でのやりとりからは、メールでは得られない親密さを感じることができますから」
メールが全盛期の今、手紙を送る手間はどうしても怠りがちになってしまう。だからこそ、例えメモ1枚であっても、ふいに直筆の便りが届くと嬉しいきもちになるものだ。友理さんはエンベロープよりも小ぶりのケースも見せてくれた。それは「ポストカードウォレット」という、葉書や手紙を入れるために作られたものだという。
「紙はとてもデリケートなものですから、外出先でもらったメッセージカードなども無造作にバッグに放り込んでしまったら、他のものでくしゃくしゃに潰されてしまったりしますよね。紙をきちんと保管できるものを作りたかったのです。それにもらって嬉しい手紙って、何度でも読み返したくなるでしょう?」
届いた手紙を入れて持ち歩き、ちょっとした時間に取り出して読み返す。それはじつに豊かな時間である。そう思えば、ハトメの紐をぐるぐると解く数秒間にも幸せを見出すことができそうだ。

update : 2008.06.26
title : POSTALCO
text : VAGANCE
photo : fumio ando
thanks : yuri abelson
thanks : POSTALCO
POSTALCO
名刺入れやブックカバーなど、“紙を運ぶこと”をテーマとするプロダクトを制作するブランド。シンボルは伝書鳩。マイク・エーブルソンと友理・エーブルソン夫妻によって2001年ブルックリンでスタートする。日本で革職人とであったのをきっかけに2004年から活動拠点を東京に移し、京橋に直営店をオープンする。オリジナル以外にも、ステーショナリーやポストカードなども取り扱う。営業日は水・木・金と第1・3土曜日。
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